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ZETA導入事例 鈴木組(養殖キャビア生産事業)

IoTによる養殖監視・通知システムで
宮崎県椎葉村のひなたキャビアを世界へ

なぜIoTが必要だった?チョウザメ養殖の問題点をIoTでクリアしてキャビアの生産性向上を図りたい

トリュフ、フォアグラと並んで世界三大珍味とされる高級食材のキャビアはチョウザメの卵の塩漬けです。2016年の志摩伊勢サミットの食事会では、宮崎産のキャビアが供され、世界のリーダーたちの舌をうならせました。ただ、天然のチョウザメ捕獲では十分な量が確保できないことから、先進諸国では1990年代からキャビア養殖ビジネスが始まりました。日本では宮崎県内などでチョウザメ養殖とキャビア生産事業が進められています。

鈴木組は宮崎県の中でも山間部に位置した椎葉村でチョウザメの養殖ビジネスに着手。地元産キャビアを「平家キャビア」と名付けて販売戦略を展開しています。同時に椎葉ブランドを世界に発信することで、豊かな自然や綺麗な水に恵まれた椎葉村のブランド力を上げていきたいという願いがあります。綺麗な水で育てられたキャビアは臭みがなく、宮崎のシェフ達に絶賛され10月1日に発売した新物は即日完売し、現在予約3か月待ちとなっています。これまでのチョウザメ養殖事業の道のりは平たんではなく、さまざまなトラブルに見舞われました。こうした問題を解決したのがZETAの導入によってチョウザメ養殖現場を自動的に監視し、必要なデータを適宜通知するシステムでした。

チョウザメを養殖し始めて実際にキャビアが取れるまでには約8年かかります。多くの種類の養殖魚がいますが、おおむね数か月から2年程度で出荷されるのに対し、8年という長いスパンを要する点がチョウザメ養殖の難点なのです。長期間にわたる養殖はリスクを伴います。鈴木組のチョウザメ養殖場でも、心無いいたずらによってチョウザメが大量死したり、大雨で養殖場に土砂が詰まり、新鮮な水を供給できなくなって酸欠死させてしまうというトラブルがありました。

こうした被害を回避するために、鈴木組は養殖場の生け簀の水位や水中の酸素量など、チョウザメの安定的な養殖に必要なデータ収集に取り組むことにしました。できるだけ新しいデータを取得するためには定期的に養殖場に足を運ばなくてはなりません。ところが鈴木組の事務所から養殖場までは、時おり落石も発生するような厳しい山道を通らねばならず、車でも約20分かかります。冬になると積雪で車が通れない状態になるため、雪道を徒歩で行かなければなりません。効率性や作業員の負担など、大きな課題に直面したのです。養殖場と事務所との距離が離れているために、リアルタイムで養殖場の環境に関するデータが収集できないという課題が浮き彫りになり、人力では限界があることが分かったのです。

IoTの弱点こうして突破通常の電波は届かない山奥でも利用できる次世代通信システムを求めて

養殖場の環境を確認するために頻繁に従業員が山中を移動しなければならないという効率の悪さや従業員の負担を解決するために、鈴木組は養殖場の自動監視とデータ通信システムを構築することを目指し、IoTを活用してリアルタイムな養殖場の環境管理を行うことを決断。品質の安定化と生産性の向上に取り組むことにしました。ところが、ここで大きな壁にぶつかりました。養殖場が山奥に位置しているために、自動監視のデータ通信に不可欠の電波が事務所まで届かないという根本的な問題です。

椎葉村は宮崎県北部の九州山地中央部にあります。平家の落人伝説があり、日本三大秘境と呼ばれていますが、地理的にも村のほぼ全域が九九州山地の中央部にあり、標高1000メートルから1700メートル級に山に囲まれています。このため電波の伝達という点では極めて条件が悪く、Long Term Evolution、いわゆるLTE電波はなかなか養殖場まで届かないのです。

そこで鈴木組はZETAの特性に着目しました。ZETAは次世代のIoTデバイス通信方式として期待されているLPWAN規格の通信システムです。省電力で、しかもカバーエリアが広いという特性を持っています。特にZETAは中継器(Mote)を通してMesh型のマルチホップ・トポロジー構成が可能なので、LTE電波が届かないような山奥でも、問題なく電波が届きます。鈴木組の養殖場のように通信条件が厳しい立地にこそ最適のシステムだったのです。


【写真:通常の電波は届かない山奥にあるチョウザメ養殖場】

採否を決めたZETAの優位性決め手となった中継可能なネットワーク構築

チョウザメ養殖場から会社の事務所までは、車を使っても20分ほどかかる距離がありますが、通信に関しては、距離以上に問題なのが周囲を厳しく取り囲む山々です。高い山、そこに自生する多数の樹木が電波にとっては障害物となります。つまり通常の電波は届かないのです。しかしZETAであれば、先述したように中継器(Mote)を組み込むことでMesh型のマルチホップ・トポロジー構成が可能です。厳しい通信環境でも障害を起こさないように、Moteをシステムに組み込んだネットワークを構成したことが奏功しました。

チョウザメ養殖場にはさまざまなセンサーを配置。最適のセッティングによって、チョウザメを飼育している生け簀の水温管理や水質管理などの基礎データはもちろん、水質の指標として用いられる溶存酸素量の測定データなども安定的に送受信できるようになりましたし、水位に異変があったら即時アラームを通知する仕組みも取り入れました。

スマホやパソコンからリモートチェックができますし、万一異常が発生したら、リアルタイムで従業員のスマホや事務所のパソコンに自動的にその旨を通知する連絡が来るようになっていますので、不測の事態や事故を防止できます。24時間、人間が養殖場の現場にいなくても、養殖に必要不可欠なデータを常時安定的に得られるチョウザメ養殖管理システムを開発することができたのは、ZETAが持つさまざまなメリットを最大限生かしたことが大きな要因です。


【写真:生け簀に設置したセンサ】

システム構成図

広がる将来ビジョンすべての生け簀にシステムを構築し、宮崎県の活性化にも貢献

鈴木組が抱えていたチョウザメ養殖に関する課題はZETA導入によってクリアできることが実証されました。しかもZETAは他のシステムと比較しても初期費用を極めて低く抑えられますし、その後のランニングコストも同様です。山間部のような条件が悪い場所でこそ力を発揮するだけでなく、大企業のような投資力がない企業でも十分導入できるという点は大きなアドバンテージです。今回初めて導入した養殖管理システムは一部の生け簀だけでしたが、鈴木組は今後すべての生け簀へのシステム導入を進め、効率的なキャビア養殖を目指します。

さらに言えば、宮崎県の各地で養殖、生産しているキャビアを、国内だけでなく世界に認知してもらい、「キャビアといえば宮崎県、平家キャビアといえば椎葉村」と評価されるようなブランディングを推進し、宮崎県の地域おこしに寄与したいと考えています。

具体的には、現在鈴木組とは異なった方式で養殖管理をしている宮崎県内のチョウザメ養殖事業者にもZETAが持っているメリット、すなはち、悪条件下でもしっかり届く電波能力、ローコストでの運用が可能というメリットを伝え、導入を勧めていきます。これによって、県内のいろいろなキャビア生産業者が、それぞれのこだわりを持った「ご当地キャビア」を効率的に生産していければ、県内全体の活性化につながります。

2017年3月8日、国産キャビアとしては初めて宮崎産キャビアが海外に輸出されました。とはいえ、一般の皆さんには「宮崎県イコールキャビア特産地」と認識していただけるほどには知名度は浸透していません。だからこそZETAの画期的なシステムを梃にして、宮崎県産キャビアの知名度を上げていきたいのです。いずれは県内各地のキャビアの食べ比べができるイベント開催などで盛り上げ、キャビア産業が宮崎県が誇れる魅力的な産業となるように、ZETAを活用して邁進したいと考えています。


【写真:鈴木組 鈴木部長】