「LPWA-ZETA規格次世代タグZETag」×「エネコム資材管理」の実証実験について
LPWA(低消費電力広域)ネットワーク規格「ZETA」(※1)の通信を活用した次世代タグ「ZETag」(※2)の活用・普及促進を目指すZETAアライアンスZETagワーキンググループ(※3)は、株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(略称:エネコム、本社:広島市、代表取締役社長:渡部伸夫)の協力を得て、エネコムが保有する光ケーブルドラムの所在管理において従来のRFID(ICタグ)では課題となっていた部分を解決することができる次世代タグ「ZETag」を活用した実証実験を2020年2月1日から2020年3月2日まで実施しました。
背景
光ケーブルは木枠のドラムに巻いた状態(写真1)で保管・管理しており、光ケーブル敷設など施工の都度、光ケーブルドラムをエネコムの資材置き場から施工会社の資材置き場へ移動させます。その光ケーブルドラムの保管場所の管理は人的に行うため、リアルタイムで正確な保管場所の把握が難しい状況でした。この解決に従来のRFID(ICタグ)を活用するなど検討を進めていましたが、技術面では通信距離が短く、作業面ではRFIDリーダーによる読み取り作業が必要となるなど課題がありました。
これらに対し、次世代タグ「ZETag」は長距離通信が可能となり、人的作業を介さず所在管理が可能となるため、光ケーブルドラムの資材管理においてZETag活用の有効性を確認する実証実験を行うことになりました(写真2)。
実証実験の概要
エネコム資材置き場および施工会社の資材置き場の各敷地内にLPWA-ZETA規格ZETag用のアクセスポイントを設置(略称:AP、写真3)し、光ケーブルドラムにZETagを設置(略称:実証用ドラム、写真4)して、資材置き場間(直線距離600m程度)の実証用ドラムの移動における通信結果の分析を行いました(写真5)。
(分析結果)
実証用ドラムが保管されている資材置き場のAPの方が、他方の資材置き場のAPより、実証用ドラムのZETagから受信する電波強度が比較的強いため、光ケーブルドラムが保管してある資材置き場の所在が判別可能。
今後の展開
現在、物流業界ではメッシュ型となっている複数拠点間において、いかに荷物やパレットをリアルタイムで正確に所在を把握するかが課題となっています。
今回の実証実験結果から、LPWA-ZETA規格ZETagは、新しい物流IoTの仕組みとして物流業界の課題解決に貢献でき、さらには、実証実験フィールド同様に電力・通信業界の電線やケーブルドラムなどの資材の所在管理にも展開が見込まれます。
写真2 実験風景
写真3 アクセスポイント設置
写真5 検証画面(2拠点間を移動した軌跡)
(※1)ZETAは、LPWA通信規格で、超狭帯域での多チャンネル通信、メッシュネットワークによる分散アクセス、双方向での低消費電力通信などのIoTに適した特長を持ちます。中継器による多段のマルチホップ通信を採用することで、他のLPWA規格に比べて基地局の設置数を軽減出来、低コストでの運用が可能となります。また、中継器およびセンサーは電池での駆動が可能で、通信頻度により5~10年の連続使用が可能です。
(※2)ZETagは、小型軽量・安価・長距離伝送・リーダーが不要といった特長を持ち、アクティブ/パッシブタグの両方のメリットを兼ね備えたLPWA ZETAの通信を活用した次世代タグ。
(※3)ZETagワーキンググループは、ZETA通信規格の普及を目的としたZETAアライアンスの取り組みの1つで、LPWA ZETAを活用した次世代タグ 「ZETag」による社会課題解決を目指し、サービス化を検討しています。(主査:凸版印刷株式会社)